朝起きたときや、ちょっとした歩行の後に、足の親指が腫れ上がり激痛に襲われた経験はありませんか?
指が赤く熱を帯び、触れることもできないほどの鋭い痛みが走る場合、それは「痛風発作」と呼ばれる状態かもしれません。
今回は、そんな痛風の原因や症状、検査・診断の方法、そして日常生活で注意すべきポイントについて詳しく解説します。
痛風は早期発見・早期治療がカギ!気になる症状があればご相談ください

痛風の怖いところは、痛みが一時的に治まっても、根本原因である尿酸値が高い状態が続く限り、再発のリスクが常に存在するという点です。
発作を繰り返すごとに関節の変形や腎機能の低下などが進行し、日常生活に大きな支障を来すこともあります。
痛風発作が一度でも起きた方は、必ず医師の診断を受け、今後の対策を相談するようにしましょう。
痛風とはどんな病気?突然の関節の激痛に要注意
痛風は、関節に突然激しい痛みを起こす炎症性疾患です。
なかでも多いのが、足の親指のつけ根部分の痛みで、片足だけが赤く腫れ上がり、歩行すら困難になることもあります。
こうした発作は「痛風発作」と呼ばれ、特に男性に多く見られます。
痛風発作は前触れなく突然起こり、数日から1週間ほど続くことがありますが、痛みのピークを過ぎると、自然と症状が軽くなるという特徴があります。
そのため、一時的な不調で自然治癒したと誤解されがちですが、体内では尿酸値の異常が続いており、再発のリスクは極めて高い状態にあるということを知っておきましょう。
痛風の原因となる尿酸、そしてプリン体
痛風の背景には「高尿酸血症」があります。
高尿酸血症とは、血液中に含まれる尿酸の濃度が基準値を超えた状態のことを指します。
尿酸は、体の中で生成される老廃物の一種で、通常は腎臓を経由して尿として体外に排出されます。
しかし、尿酸の産生量が増えすぎたり、排出がうまくいかなかったりすると、血液中に尿酸がたまり、高尿酸血症へとつながります。
そんな尿酸の材料となるのが「プリン体」と呼ばれる物質です。
プリン体はレバーや魚卵、干物、アルコールなどの食品に多く含まれています。
痛風はどうやって診断される?
痛風の診断には、まず医師の診察と問診、そして血液検査が行われます。
特に重要なのは「尿酸値」と「炎症反応」の数値です。
発作の時期にこれらが上昇していれば、痛風の可能性が高いと判断されます。
また、関節にたまった尿酸結晶が原因で炎症を起こすため、必要に応じて関節液の検査を行うこともあります。
放っておくと怖い合併症と生活習慣病との関係
痛風は単なる関節の病気ではありません。
高尿酸血症が続くことで、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を合併しやすくなることが分かっています。
これらの疾患はすべて、動脈硬化を引き起こすリスクを高め、結果として狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞といった命に関わる血管疾患を引き起こす可能性があります。
夏に増える痛風発作、脱水とビールの危険な関係
夏場になると、痛風発作の頻度が増える傾向があります。
これは大量の汗によって体内の水分が失われ、血液が一時的に濃縮されることで尿酸値が上昇しやすくなるためです。
さらに真夏の定番、ビールが痛風の引き金になることも珍しくありません。
アルコールは尿酸の排出を妨げるうえ、プリン体の代謝を促進する作用があるため、脱水状態での飲酒はまさに痛風発作の地雷となってしまうのです。
痛風を防ぐために見直すべき生活習慣と食事のポイント

尿酸値をコントロールするためには、まず生活習慣の見直しが不可欠です。
まずは、肥満の改善が挙げられます。
肥満は尿酸の排出を妨げる要因となるため、適正体重に近づけることが発作予防に直結します。
次に、食生活の改善です。
プリン体の摂取量を意識しつつ、野菜や海藻、きのこ類など、尿酸の排出を助ける食品を積極的に取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。
また、有酸素運動の継続も大切です。
軽めのウォーキングや水中運動は、尿酸値を上げずに健康維持をサポートします。
痛風に良い食材・避けたい食材とは?
プリン体が極めて多く含まれる食材には、鶏レバー、マイワシの干物、あんこうの肝などがあります。
比較的多く含む食品としては、豚や牛のレバー、カツオ、アジの干物などが挙げられます。
これらの摂取を極端に避ける必要はありませんが、連日摂取するのは避け、量を意識するようにしましょう。
また、果糖を多く含むジュースや清涼飲料水も尿酸値を上げる作用があるため、糖分の多い飲み物は控えめにしましょう。
一方、尿酸排出を促進すると言われている食材には、わかめやひじきなどの海藻類、しいたけやしめじなどのきのこ類があります。
これらは低プリン体かつ栄養価も高いため、日々の食事に積極的に取り入れるとよいでしょう。
どんな運動が痛風予防に適している?
痛風予防に効果的な運動は、有酸素運動です。
たとえば、軽いジョギングやウォーキング、サイクリングなどが挙げられます。
これらの運動は脂肪燃焼と血流促進に役立ち、尿酸の排出をサポートします。
一方で、短時間で筋肉に強い負荷がかかるような無酸素運動は、細胞のターンオーバーを激しくし、尿酸の産生を増加させる恐れがありますので、注意しましょう。
健康のためには、一気にハードな運動をするのではなく、継続が大切です。
無理のない範囲で習慣化していきたいですね。
まとめ

京都市右京区にある「清水医院」は、京福電鉄嵐山本線「山ノ内」駅から徒歩1分の便利な場所にあるクリニックです。
幅広いお悩みに対応していることはもちろん、誰もが気軽に相談できるよう「科に捉われない診療」をモットーに、地域の方の「からだの相談窓口」としてご来院いただける場所でもあります。
一般的な不調から専門的なお悩みまで、「とにかく相談したい」という場合には、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者情報

清水 導臣(しみず みちおみ)
清水医院(内科・外科・総合診療科) 院長
経歴
2006年 近畿大学医学部附属病院 初期研修医
2008年 市立岸和田市民病院 血液内科専攻医(研修)
2010年 関西医科大学附属枚方病院 救命救急センター助教
2011年 大阪府済生会野江病院 救急集中治療科医員
2017年 生長会ベルランド総合病院 急病救急科医長
2019年 京都市立病院 救急科医長
2021年 清水医院 院長