咳はなぜ出るの?

咳はなぜ出るの?

咳(せき)は、身体の防御反応の一つで、気道(咽頭、気管、気管支、肺)に侵入した異物や刺激物を取り除こうとする生理的な反応として起こります。
咳が出る仕組み以下の通りです。

(1)刺激の感知

喉、気管、気管支、肺にある「咳受容体」が刺激を感知します。刺激には、異物(ほこり、煙)、粘液(痰)、ウイルスや細菌による炎症等の刺激が挙げられます。

(2)神経への信号伝達

刺激が迷走神経や三叉神経を通じて脳の延髄にある「咳中枢」に信号を送ります。

(3)咳反射の開始

咳中枢からの指令で、横隔膜や気道の筋肉が収縮して強制的に空気を押し出します。 空気が勢いよく通過することで異物を外に排出します。

咳が出る原因

咳の原因は大きく分けて「急性」と「慢性」に分けられます。

急性の咳(3週間以内)

急性の咳は、短期間で以下のような症状が現れます。

感染症

・ウイルス性:風邪、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス感染症、RSウイルスなど
・細菌性:肺炎球菌、レジオネラ、結核など
・その他:マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、真菌など

アレルギー

花粉症やハウスダストなどによる咳。

環境要因

タバコの煙、化学物質、冷たい空気などの刺激。

異物

食べ物や飲み物が誤って気管に入る。

慢性の咳(3週間以上続く場合)

慢性の咳は、基礎疾患や持続的な刺激が原因です。

気管支喘息

夜間や運動後に悪化しやすい喘鳴を伴う咳。
*類似疾患として咳嗽型喘息というものはありますが、別物として考えるのが一般的ではありますが、咳喘息から気管支喘息には30%ほど移行すると言われております。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

喫煙者に多い。慢性的な痰を伴う咳。

胃食道逆流症(GERD)

胃酸が逆流して咽頭や気管を刺激することで咳が出る。

副鼻腔炎(後鼻漏症候群)

鼻水が喉に流れることで喉が刺激され、咳が出る。

肺疾患

肺結核、間質性肺炎、肺がんなどが原因の場合も。薬剤性咳嗽:特定の降圧薬(ACE阻害薬など)が原因。

咳の種類

乾いた咳(乾性咳嗽)

痰を伴わない咳。感染症初期、アレルギー、肺炎等。

湿った咳(湿性咳嗽)

痰を伴う咳。気管支炎、COPD、肺炎等。

発作性の咳

突然激しく咳き込む。百日咳、誤嚥等。

咳が出る場合の、病気の検査方法

問診

一般的には、以下に挙げられる内容について詳しく伺っていきます。

咳の性質

乾いた咳か、湿った咳(痰を伴う)か。

咳の期間

急性(3週間未満)、遷延性(3~8週間)、慢性(8週間以上)。

併発症状

発熱、体重減少、胸痛、喘鳴、鼻水、のどの痛み。

生活習慣

喫煙歴、仕事での化学物質や粉塵の曝露、ペットの有無。

既往歴と薬の使用

気管支喘息や胃食道逆流症(GERD)、ACE阻害薬(降圧薬)など。

診察

聴診

胸部を聴診器で確認し、喘鳴(ぜんめい)や湿性ラ音(痰の音)をチェックします。

喉や鼻の観察

後鼻漏や咽頭の炎症を確認していきます。

検査

血液検査

白血球数や炎症マーカー(CRP)等の数値に異常がないかを確認します。

喀痰検査

咳で排出された痰を検査します。

胸部X線検査

肺や気管支に異常があるかを調べます。

胸部CT検査

X線ではわかりにくい詳細な肺や気管支の異常を確認します。

呼吸機能検査

スパイロメトリーで肺活量や気道の狭さを測定したり、気道過敏性検査で気道が敏感になっている状態を確認していきます。

呼気一酸化窒素検査

喘息などの病態では好酸球による炎症が原因と考えられ、炎症の結果一酸化窒素が多く作られ、呼気中の一酸化窒素を測定することによりその炎症が判明します。

咳が出る病気の治療方法

咳を引き起こす病気の治療は、その原因によって異なります。咳を伴う主な病気とその治療方法には、以下が挙げられます。

ウイルス感染症(風邪やインフルエンザなど)

対症療法

解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン)で熱や痛みの緩和を目指します。

咳止め薬(デキストロメトルファン、漢方など)

咳止め薬で、乾いた咳を抑えます。

去痰薬(カルボシステイン、アンブロキソール)

痰を排出しやすくします。

水分補給

喉の乾燥を防ぎ、痰を緩めます。

休養

免疫力を高めるためにも十分な休息が必要です。

細菌感染症(肺炎、気管支炎など)

抗生物質

マクロライド系(クラリスロマイシン)やペニシリン系(アモキシシリン)の抗生物質による治療を行います。感染の原因菌に応じて選択していきます。

去痰薬

痰を排出しやすくします。

吸入療法

気道を広げるために用いる場合もあります。

気管支喘息

吸入薬

短時間作用性β2刺激薬(サルブタモール)を発作時に使用します。

吸入ステロイド(フルチカゾン、ブデソニド)

長期的な吸入を実施します。

経口薬

ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト)で長期的な炎症を抑制します。

アレルギー性鼻炎

抗ヒスタミン薬
ステロイド点鼻薬
生理食塩水の鼻洗浄

咳を伴う病気のご相談

咳を伴う病気のご相談

咳が伴う病気は非常に多岐にわたるため、正確な診断には医師による診断が不可欠となります。突発的な咳、長引く咳、いつもと違う咳など、「おかしいな?」と感じる咳が出始めたら、京都市右京区の内科、清水医院までお問い合わせください。

なお、発熱のある患者並びに1週間以内発症の咽頭痛、咳・痰・鼻汁などの症状で受診される場合、当院においては発熱外来という枠でのみ行っており、完全予約制となっております。発熱がない患者であっても発熱外来枠の対応となり、一般外来の予約でお取りいただいても発熱外来枠での予約の取り直しとなり、一旦帰宅後再度来院をお願いすることがありますのでご留意ください。なお、万が一予約が埋まっている場合であれば受付時間内にご連絡いただければ調整を行います。

この記事の監修者情報

この記事の監修者情報

清水 導臣(しみず みちおみ)

清水医院(内科・外科・総合診療科) 院長

経歴

2006年 近畿大学医学部附属病院 初期研修医
2008年 市立岸和田市民病院 血液内科専攻医(研修)
2010年 関西医科大学附属枚方病院 救命救急センター助教
2011年 大阪府済生会野江病院 救急集中治療科医員
2017年 生長会ベルランド総合病院 急病救急科医長
2019年 京都市立病院 救急科医長
2021年 清水医院 院長

ご挨拶

京都府京都市右京区の内科・総合診療科の清水医院の院長の清水導臣です。
私は救急医として多くの患者さんを診てきた経験から、患者さんと身近に接し、信頼関係を築くことで、安心して治療や生き方を選択できる環境を提供したいと考えています。デリケートな内容も気軽に相談できる関係を大切にし、健康寿命の延伸や病気の予防につなげることを目指しています。そのため、対話を重視し、どのような不安や悩みもまずは気軽にご相談いただける医院を目指しています。

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