腹痛

腹痛とは

腹痛とは

腹痛は、腹部に感じる痛みや不快感を指します。その原因は多岐にわたり、消化器系、泌尿器系、婦人科系、循環器系、または心理的要因に関連する場合があります。急性の腹痛は短期間で強い痛みを伴い、しばしば救急対応を要します。一方で慢性的な腹痛は数週間以上続き、生活に影響を及ぼすことが多いです。痛みの部位や性状(鋭い痛み、鈍い痛み、間欠的な痛みなど)は、原因の特定に役立つ重要な情報となります。

腹痛の原因となる急性疾患

急性虫垂炎

初期にはへそ周りの痛みが特徴で、次第に右下腹部へ移行します。発熱、悪心・嘔吐を伴うことが多いです。手術が必要となる場合があります。

急性胆嚢炎・胆石症

右上腹部またはみぞおちの強い痛みが特徴で、食事後に悪化することがあります。発熱や黄疸を伴う場合、緊急治療が必要です。

腸閉塞

腸管が物理的に閉塞し、ガスや糞便が排出されなくなる状態です。腹部膨満、嘔吐、便秘が特徴です。

急性膵炎

激しいみぞおちの痛みが背中に放散することがあります。アルコールや胆石が主な原因で、吐き気や嘔吐を伴います。

大動脈解離または動脈瘤破裂

突然の激しい腹痛が特徴で、ショックを伴う場合があります。緊急の外科治療が必要です。

婦人科疾患

卵巣嚢腫の捻転や異所性妊娠(子宮外妊娠)は急性の下腹部痛を引き起こし、救急処置が必要です。

急性胃腸炎

感染性の原因が多く、腹痛に加えて嘔吐、下痢、発熱を伴うことがあります。

腹痛の原因となる慢性疾患

過敏性腸症候群(IBS)

ストレスや食事が誘因となり、間欠的な腹痛と便秘または下痢が交互に現れます。機能性疾患として分類されます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

空腹時や夜間にみぞおち付近の痛みが特徴で、食事や制酸剤で軽減することがあります。

慢性胆石症

急性胆嚢炎に至らない場合でも、食事後の右上腹部痛が繰り返されることがあります。

慢性膵炎

アルコール摂取や膵石が原因となり、断続的な腹痛がみぞおちから背中に放散します。

婦人科疾患

子宮内膜症や骨盤内炎症性疾患(PID)は、慢性の下腹部痛を引き起こします。

腎疾患

慢性腎盂腎炎や腎結石が腹部の鈍痛や違和感を引き起こします。

腹痛で見つかりやすい病気

・消化器系: 急性虫垂炎、急性胆嚢炎、腸閉塞、胃潰瘍
・婦人科系: 卵巣嚢腫の捻転、子宮内膜症
・泌尿器系: 腎結石、尿路感染症
・循環器系: 大動脈解離、心筋梗塞(下腹部痛として現れる場合もあり)
・機能性疾患: 過敏性腸症候群

腹痛の診察方法

問診

痛みの部位、性状(鋭い、鈍い、波状など)、持続時間、誘因(食事、体位、ストレスなど)、関連症状(発熱、下痢、便秘、嘔吐など)を詳しく尋ねます。

身体診察

腹部の視診、触診、打診、聴診を行い、圧痛や反跳痛、腸雑音を評価します。

血液検査

白血球数、CRP(炎症マーカー)、肝機能、膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)、腎機能を測定します。

画像診断

・腹部超音波検査: 胆石、腎結石、膿瘍、腫瘍などを評価します。
・CTスキャン: 腸閉塞、腹部の炎症性疾患、大動脈解離を確認します。
・MRI: 腹部腫瘍や膵疾患の詳細な評価に用います。

内視鏡検査

胃・十二指腸潰瘍や炎症性腸疾患を診断するために胃カメラや大腸内視鏡を使用します。

尿検査

尿路感染症や腎結石を疑う場合に行います。

婦人科検査

エコー検査やホルモン測定を行い、卵巣や子宮の異常を評価します。

腹痛の治療方法

急性疾患の治療

急性虫垂炎

緊急手術が基本です。抗菌薬の併用も行われます。

急性胆嚢炎

抗菌薬や点滴治療を行い、場合によっては胆嚢摘出術が必要です。

腸閉塞

入院治療で絶飲食、経鼻胃管減圧を行い、場合により手術が必要です。

急性膵炎

絶飲食、点滴療法、鎮痛薬を使用し、重症例では集中治療を行います。

慢性疾患の治療

IBD

ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤が用いられます

胃潰瘍

H. pylori除菌療法、制酸薬(PPIやH2ブロッカー)を使用します。

慢性膵炎

禁酒、酵素補充療法、栄養管理を行います。

対症療法

鎮痛薬や制酸剤を使用して症状を和らげます。ただし、急性腹痛の場合、診断がつくまで安易に鎮痛薬を使用しないことが推奨されます。

生活習慣の改善

食事の見直し、適度な運動、ストレス管理が慢性腹痛の緩和に役立ちます。

腹痛に関するご相談

腹痛に関するご相談

腹痛は急性か慢性かによって原因と対処法が異なり、適切な診断と治療が重要です。問診や身体診察、画像検査を組み合わせて正確な診断を行い、原因に応じた対症療法や根本治療を行います。急性腹痛では特に緊急対応が必要な疾患を見逃さないことが非常に大切です。単なる腹痛と軽視はせず、京都市右京区の内科、清水医院までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者情報

この記事の監修者情報

清水 導臣(しみず みちおみ)

清水医院(内科・外科・総合診療科) 院長

経歴

2006年 近畿大学医学部附属病院 初期研修医
2008年 市立岸和田市民病院 血液内科専攻医(研修)
2010年 関西医科大学附属枚方病院 救命救急センター助教
2011年 大阪府済生会野江病院 救急集中治療科医員
2017年 生長会ベルランド総合病院 急病救急科医長
2019年 京都市立病院 救急科医長
2021年 清水医院 院長

ご挨拶

京都府京都市右京区の内科・総合診療科の清水医院の院長の清水導臣です。
私は救急医として多くの患者さんを診てきた経験から、患者さんと身近に接し、信頼関係を築くことで、安心して治療や生き方を選択できる環境を提供したいと考えています。デリケートな内容も気軽に相談できる関係を大切にし、健康寿命の延伸や病気の予防につなげることを目指しています。そのため、対話を重視し、どのような不安や悩みもまずは気軽にご相談いただける医院を目指しています。

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