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- 痛風・高尿酸血症
京都市右京区の清水医院では、高尿酸血症や痛風の診断・治療を行っています。高尿酸血症とは、血液中の尿酸が通常よりも多くなった状態を指し、これを放置すると痛風発作や腎障害、尿路結石などのリスクが高まります。痛風は、関節内に尿酸の結晶が沈着し、激しい痛みを伴う炎症を引き起こす病気です。
高尿酸血症とは

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が7.0mg/dL以上の状態を指します。痛風の原因は血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症です。全身の細胞で産生されるプリン体が代謝されてできた尿酸は血液に溶けて循環したあと、ほとんどが尿として排泄されます。ところが尿酸の排泄障害や産生過剰のために尿酸値が高くなると、血液中に溶けきれない尿酸が関節にたまって痛風発作を起こします。
高尿酸血症の原因は、男性に起こりやすい・尿酸を体外に排泄しにくい家系などの遺伝的要因と、肥満、メタボリックシンドローム、飲酒習慣などの環境要因があります。後者の場合、糖尿病、脂質異常症、高血圧、脂肪肝などの生活習慣病を合併する方も珍しくありません。
高尿酸血症のタイプ
高尿酸血症には、3つのタイプがあります。
1.尿酸産生過剰型
体内で尿酸が過剰に作られるタイプ
プリン体を多く含む食品(肉類、魚卵、アルコールなど)の過剰摂取が関与
血液疾患やがん治療の影響で細胞が大量に壊れた際にも発生
2.尿酸排泄低下型
腎臓からの尿酸排泄が低下するタイプ
遺伝的な体質や腎機能の低下、特定の薬剤(利尿薬など)の影響が関与
3.混合型
尿酸の産生増加と排泄低下が同時に起こるタイプ
肥満、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどが関与
高尿酸血症は、自覚症状がないことが多いため、定期的な健康診断で尿酸値をチェックすることが重要です。
痛風とは

痛風は足の親指の付け根部分が炎症を起こし、赤くはれて痛む病気です。多くは片足だけに症状が出ます。痛みはとても強く、我慢できない場合も珍しくありません。ある日突然炎症や痛みを生じるために痛風発作と呼ばれる場合もありますが、違和感があるなど初期症状を感じる方も多いです。
軽い場合は1日で治る場合もあり得ますが、多くは7~10日程度で自然にはれや痛みが治まります。しかし再発する場合が多いので、放置せずに痛風の原因である高尿酸血症を治療しましょう。女性は男性よりも痛風が少ないです。これは女性ホルモンのはたらきにより痛風の原因である高尿酸血症を起こしにくいためです。
痛風の症状
痛風には、急性期と慢性期があります。
急性痛風発作(痛風発作)
- 突然の関節の激しい痛み(特に夜間や早朝に発生しやすい)
- 関節の腫れ、赤み、熱感
- 発作は数時間から1週間程度続くことが多い
発作が起きると、歩くのが困難になるほどの激痛を伴うことが一般的です。
慢性痛風(痛風結節)
- 発作を繰り返すことで関節が変形
- 皮下に尿酸結晶が沈着し、「痛風結節」と呼ばれるコブができる
- 腎障害(痛風腎)や尿路結石を併発することがある
痛風発作を繰り返さないためにも、早めに尿酸値をコントロールすることが重要です。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症の主な原因は、尿酸の過剰産生、尿酸の排泄低下、生活習慣の影響に分けられます。
1.食生活の影響
- プリン体を多く含む食品の過剰摂取(レバー、魚卵、干物、肉類など)
- アルコールの摂取(特にビール、日本酒)
- 水分不足(尿酸の排泄が低下する)
2.肥満と運動不足
- 肥満は尿酸値を上げる要因の一つ
- 適度な運動は尿酸値を下げるが、激しい運動は逆効果
高尿酸血症の治療方法
1.生活習慣の改善
- プリン体を多く含む食品を控える
- 水分をしっかり摂取し、尿酸を排泄しやすい体づくりをする
- 適度な運動を行い、肥満を防ぐ
- アルコールを控えめにする(特にビールは注意)
- ストレスを溜めない
2.薬物療法
尿酸値が高い場合や、痛風発作を繰り返す場合には、尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブリク)や尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシド)が処方されます。
痛風って1日で治るの?
痛風発作は通常1日では治まりません。適切な治療をすれば、3~7日程度で痛みが軽減します。ただし、発作を繰り返さないためには、根本的な尿酸管理が重要です。
「足の親指の付け根が痛い」ときに考えられる病気
- 痛風(突然の激しい痛み、腫れ)
- 関節リウマチ(左右対称に関節の腫れや痛み)
- 外反母趾(親指が変形し、歩行時に痛む)
- 変形性関節症(加齢による関節のすり減り)
足の痛みが続く場合は、早めに医療機関へご相談ください。痛風や高尿酸血症の早期診断・治療を行っています。
高尿酸血症の予防と改善策
1.食生活の改善
食事は尿酸値に大きく影響します。特にプリン体を多く含む食品の摂取に注意し、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
①プリン体を多く含む食品を控える
- 肉類(特にレバー、牛タン、鶏ささみ)
- 魚卵(イクラ、タラコ)
- 干物(煮干し、シラス、干し椎茸)
- アルコール(特にビール、日本酒、焼酎)
②尿酸の排出を促す食品を積極的に摂る
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト)→尿酸の排泄を促進
- 野菜(ホウレンソウやキノコ類を除く)→尿酸値を下げる効果がある
- 海藻類(ワカメ、昆布)→低プリン体で健康に良い
- 豆類(豆腐や納豆)→適量であれば問題なし
③水分を十分に摂る
水分を十分に摂取することで、尿酸を尿として排泄しやすくなります。1日2リットル以上の水分を摂ることを目標にしましょう。
- 水やお茶(カフェインレスがおすすめ)
- アルカリ性の水(尿をアルカリ化し、尿酸の排泄を助ける)
2.適度な運動を心がける
運動は、肥満を防ぐだけでなく、尿酸の代謝を改善する効果があります。ただし、激しい運動は尿酸値を急上昇させることがあるため、軽めの運動を継続することが重要です。
- ウォーキング(1日30分程度)
- 軽いジョギングやストレッチ
- 水泳や自転車(関節に負担が少ない運動)
反対に、短距離走やウエイトトレーニングなどの激しい運動は、尿酸値を上げる原因となるため注意が必要です。
3.禁酒・節酒を心がける
アルコールは尿酸値を上昇させるだけでなく、尿酸の排泄を妨げるため、できるだけ控えましょう。特にビールや日本酒はプリン体を多く含むため、痛風のリスクを高めます。
- ビール、日本酒 → 控える
- 焼酎、ウイスキー(プリン体は少ないが飲み過ぎ注意)
- ノンアルコールビール(プリン体ゼロのものを選ぶ)
痛風を早く治すには?
1.痛風発作が起きたらすぐに消炎鎮痛薬を服用
痛風発作を早く治すために、病院では炎症を抑えて痛みやはれを軽減させる抗炎症薬を使用します。非ステロイド系抗炎症薬、コルヒチン、副腎皮質ステロイド薬が代表的な抗炎症薬で、病状や基礎疾患に応じて薬を選択します。コルヒチンは初期症状の段階で使うと発作予防が可能です。
2.患部を冷やし、安静にする
炎症を抑えるために、氷や冷たいタオルで患部を冷やすことが有効です。
炎症が治まり痛みやはれが引いたあとで、痛風再発を予防するために尿酸値を下げる治療を開始します。高尿酸血症になる機序は尿酸の産生過剰と、尿酸の排泄障害の2つに分類され、それぞれの機序に応じた薬を使い分けています。
3.水分を多めに摂取し、尿酸を排泄する
水を1日2リットル以上飲み、尿として尿酸を排泄しやすくしましょう。
4.アルコールやプリン体の多い食品を避ける
発作中は特に食事に注意し、肉類、魚卵、アルコールを控えることが重要です。
高尿酸血症・痛風についてよくある質問
1.高尿酸血症は自覚症状がないのに、なぜ治療が必要なのですか?
高尿酸血症自体には自覚症状がありませんが、放置すると痛風発作、腎障害(痛風腎)、尿路結石、動脈硬化などのリスクが高まります。特に尿酸値が9.0mg/dL以上の場合は、痛風発作を起こしていなくても治療を検討することが推奨されています。
2.痛風発作が起きたら、すぐに尿酸を下げる薬を飲めばよいですか?
いいえ。痛風発作中に尿酸値を下げる薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)を急に飲むと、逆に発作が悪化することがあります。発作が起きた際は、まず消炎鎮痛薬(ロキソニン、ボルタレンなど)で痛みを抑え、炎症が落ち着いたら尿酸値を下げる治療を開始します。
3.痛風はストレスが原因で起こることもありますか?
はい。ストレスがかかると、体内のホルモンバランスが変化し、尿酸の産生が増加することがあります。また、ストレスがたまると食生活が乱れたり、アルコール摂取が増えたりすることで尿酸値が上昇しやすくなります。
4.痛風発作中は温めたほうがいいですか?
痛風発作中は患部を冷やすのが正解です。温めると炎症が悪化し、痛みが強くなることがあります。氷や冷たいタオルで患部を冷却し、安静にすることが大切です。
5.痛風の痛みが治まったら、普通に生活しても大丈夫ですか?
痛みがなくなっても、尿酸値が高いままだと再発のリスクがあります。痛風発作を繰り返すと、関節が変形し、慢性的な関節痛や腎障害につながることもあるため、尿酸値をコントロールすることが重要です。
6.高尿酸血症は女性にも起こりますか?
はい。ただし、女性は閉経前までは女性ホルモンの影響で尿酸値が上がりにくいため、痛風になる割合は男性より低くなっています。しかし、閉経後はホルモンの変化により尿酸値が上昇しやすくなり、女性の痛風患者も増えてきています。
京都市右京区の清水医院では、高尿酸血症や痛風の診療を行っています。
尿酸値が高めの方や、痛風発作を経験した方は、早めの受診をおすすめします。当院では、生活習慣の指導から薬物療法まで、患者さん一人ひとりに合わせた治療を提供いたします。お気軽にご相談ください。
この記事の監修者情報

清水 導臣(しみず みちおみ)
清水医院(内科・外科・総合診療科) 院長
経歴
2006年 近畿大学医学部附属病院 初期研修医
2008年 市立岸和田市民病院 血液内科専攻医(研修)
2010年 関西医科大学附属枚方病院 救命救急センター助教
2011年 大阪府済生会野江病院 救急集中治療科医員
2017年 生長会ベルランド総合病院 急病救急科医長
2019年 京都市立病院 救急科医長
2021年 清水医院 院長
ご挨拶
京都府京都市右京区の内科・総合診療科の清水医院の院長の清水導臣です。
私は救急医として多くの患者さんを診てきた経験から、患者さんと身近に接し、信頼関係を築くことで、安心して治療や生き方を選択できる環境を提供したいと考えています。デリケートな内容も気軽に相談できる関係を大切にし、健康寿命の延伸や病気の予防につなげることを目指しています。そのため、対話を重視し、どのような不安や悩みもまずは気軽にご相談いただける医院を目指しています。