
「夜中に咳が止まらなくて目が覚める」「運動すると胸がゼーゼーする気がする」そんな症状が続いているのに、忙しさから放置してしまっていませんか。
喘息(ぜんそく)は、適切にコントロールしていれば日常生活への支障を最小限にできる病気ですが、放置すると発作が重症化し、命に関わることもあります。
この記事では、喘息の症状・原因・放置することの危険性・日常の対策についてわかりやすく解説します。
喘息とはどのような病気か
喘息の正式な病名は「気管支ぜんそく」といいます。
気道(空気の通り道)の粘膜に慢性的な炎症が起きており、様々な刺激によって気道が狭くなることで、息苦しさや咳などの発作があらわれる病気です。
気道の炎症は治療で症状が落ち着いているときも続いており、何かのきっかけで再び症状が出やすい状態が続きます。
子どもだけでなく大人でも発症し、大人になってから初めて診断されるケースも少なくありません。
喘息の主な症状
喘息の症状は発作的にあらわれるのが特徴で、特に夜間から明け方にかけて悪化しやすい傾向があります。
代表的な症状を確認しておきましょう。
ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)
息を吸ったり吐いたりするときに、気道が狭くなることで「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が出ます。
これが喘息の典型的なサインです。
息苦しさ・呼吸困難
気道が狭くなると、十分に息を吸い込めなくなったり、吐き出しにくくなったりします。
発作が重くなると、座っていないと呼吸できないほどの苦しさになることもあります。
激しい咳
特に夜間や早朝・運動後・冷たい空気を吸ったときに咳が出やすくなります。
発作的に激しい咳が続くことで、胸や腹部の筋肉が疲れてしまうこともあります。
胸の締め付け感
気道が収縮することで、胸が締め付けられるような圧迫感を覚えることがあります。
喘息の主な原因・誘因
喘息の気道は過敏になっており、様々な刺激に反応して発作が起きやすい状態にあります。
主な原因・誘因を知って、できる限り避けることが発作の予防につながります。
アレルギー性の誘因
ダニ・ホコリ・カビ・花粉・ペットの毛や皮膚片などのアレルゲンが気道に入ると、アレルギー反応が起きて炎症が悪化します。
特にハウスダスト(ダニの死骸や糞、ホコリ)は最もよく見られる誘因の一つです。
感染症(風邪・インフルエンザなど)
呼吸器への感染が気道の炎症を悪化させ、発作を誘発することがあります。
季節の変わり目や冬場に症状が悪化しやすい方は特に注意が必要です。
運動・気温の変化・刺激物
激しい運動後・冷たい空気・タバコの煙・強い香り・大気汚染物質なども気道を刺激して発作を引き起こすことがあります。
ストレスや疲れも症状を悪化させる要因になります。
喘息を放置すると危険な理由
「症状が出ていないときは大丈夫」と思っている方も多いですが、喘息は症状がないときも気道に慢性的な炎症が続いています。
適切な治療とコントロールを続けないと、次のような深刻なリスクがあります。
重篤な発作(大発作)への移行
軽い発作を繰り返していると、ある日突然、薬を使っても改善しないほどの大発作が起こることがあります。
大発作では呼吸困難が急速に悪化し、意識を失ったり命に関わることもあります。
「毎回軽く治まっているから大丈夫」という思い込みが最も危険です。
気道のリモデリング(不可逆的な変化)
炎症が長期間続くと、気道の壁が厚くなり硬くなる「リモデリング」という変化が起きます。
こうなると気道の狭窄が元に戻りにくくなり、薬の効果も得られにくくなります。
早期からの治療と継続的なコントロールが、この変化を防ぐうえで重要です。
日常生活・睡眠への影響
発作が繰り返されると、夜間の睡眠が妨げられ、日中の活動にも支障が出ます。
仕事・運動・外出を制限せざるを得なくなることで、生活の質が大きく低下します。
発作が起きたときの対処法
喘息発作が起きたときは、冷静に対処することが大切です。
安静にして楽な姿勢をとる
横になるよりも、上半身を起こした姿勢(前傾座位)の方が呼吸しやすくなります。
衣服の首元を緩め、リラックスして口をすぼめた腹式呼吸で呼吸を整えましょう。
吸入薬を使用する
処方されている短時間作用型の気管支拡張薬(発作時吸入薬)があれば、医師の指示に従って使用してください。
吸入後20分程度様子を見て改善しない場合は、もう一度吸入します。
それでも改善しない場合は、すぐに医療機関を受診してください。
すぐに救急対応が必要なとき
次のような場合はためらわず救急車を呼ぶか、救急対応できる医療機関を受診してください。
・吸入薬を繰り返し使っても呼吸困難が改善しない
・苦しくて横になれない・声が出ない
・唇や指先が青くなる(チアノーゼ)
・意識がもうろうとしている
喘息の日常管理と予防対策
喘息のコントロールに最も大切なのは、発作が起きていないときでも治療を継続することです。
日常の対策についても取り組みましょう。
吸入ステロイド薬の継続
喘息の治療の中心は吸入ステロイド薬です。
症状がなくても気道の炎症を抑えるために毎日継続することが重要で、自己判断で中断すると発作のリスクが高まります。
吸入後は必ずうがいをして、口の中への薬剤の付着を取り除きましょう。
室内環境の見直し
ダニ・ホコリ・カビを減らすため、こまめな掃除と換気を心がけましょう。
布団やカーペットのダニ対策・ペットの毛の管理・湿度のコントロール(40〜60%が目安)も有効です。
禁煙・受動喫煙の回避
タバコの煙は気道への強い刺激となり、発作を誘発します。
喫煙者は禁煙に取り組み、周囲でタバコを吸う環境がある場合は積極的に離れるようにしましょう。
感染予防
インフルエンザや風邪は発作の大きな誘因です。
こまめな手洗い・うがい・インフルエンザワクチンの接種なども発作予防につながります。
症状を感じたら、放置せずに受診を

喘息は適切に治療を続けることで、発作をコントロールしながら普通の生活を送ることが十分に可能な病気です。
「たまに咳が出るだけ」「以前より症状が増えた気がする」と感じている方は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診してください。
京都市で喘息の症状や長引く咳でお困りの方は、呼吸器内科にも対応している清水医院へお気軽にご相談ください。
症状の経緯や生活環境を確認しながら、あなたの状態に合わせた検査・治療をご案内いたします。
この記事の監修者情報

清水 導臣(しみず みちおみ)
清水医院(内科・外科・総合診療科) 院長
経歴
2006年 近畿大学医学部附属病院 初期研修医
2008年 市立岸和田市民病院 血液内科専攻医(研修)
2010年 関西医科大学附属枚方病院 救命救急センター助教
2011年 大阪府済生会野江病院 救急集中治療科医員
2017年 生長会ベルランド総合病院 急病救急科医長
2019年 京都市立病院 救急科医長
2021年 清水医院 院長